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第23回清明研究会(令和元年12月21日)において報告されたネガからこの話がはじまる。 そこで見つかったのが、鴨方町六条院西にある円珠院に所蔵される、人魚のミイラだった。 これが岡山県内ではじめての人魚のミイラ発見となり、マスコミ等で紹介される。 のち、倉敷芸術科学大学との合同調査、約2万人が訪れたという倉敷市立自然史博物館で開催された「倉敷動物妖怪展 at 自然史博物館」(令和4年7月16日-9月25日)での展示へとつながっていく。 円珠院の人魚のミイラについては、調査により現在までに以下のことがわかっている。 ・毛髪には哺乳類のキューティクルが確認 ・上・下半身とも内臓および骨格は確認できず、中に詰めものあり。 ・下半身は魚だが、腕・肩・首などは下半身とは異なる形状の鱗が見受けられる。 ・首と背びれには金属製の針が刺さっている。 ・表皮には防腐処理の可能性 ・制作年代は江戸期までさかのぼらない可能性あり また、人魚のミイラに付された書付については ・明治36年に書かれたもの ・表記が「ミイラ」ではなく「干物」 ・元文年間に土州(高知県)沖にて捕獲 などの記載があるとのこと。 いろいろな視点から推測するに、制作は文化文政期か明治時代ではないかと想像される。 円珠院の人魚のミイラ発見ののち、2体の人魚の情報を得、現在岡山県内にはあわせて3体の人魚が確認されている。 そのうち1体が、金光町竹森氏蔵の人魚。 全長約52cm、高さ約14cm、幅約24cmで、腹ばいの形をとり、かなり経年劣化がすすんでいる。 こちらにも書付が付されており、 ・昭和30年10月15日の年記 ・「人魚の木乃伊」の表記 ・今を去ること120、30年前、筑紫の沖合にて捕獲 などとある。こちらの人魚のミイラは大正から昭和にかけて、各地の学校などで公開されていたという。(展示先等を記した覚えが残されている) ちなみに日本に残る人魚のミイラは、現在確認しうる限りで15体、そのうち寺社に8体あるとのこと。 寺社に所蔵はされているが、あくまで宝物としての保管であって、決してご神体ではない。 世界各地にある人魚の伝説。岡山県内(玉島・金光・津山)にも残されている。 人々にとって人魚は興味をひく存在ではあるが、信仰の対象ではない。 いわゆる「珍重」するという存在であった。 以上、あくまで覚え書き。 参考程度に。 きちんとしたものは、おそらく『佐藤清明資料保存会会報』等に発表されると思われる。 #
by gosyado
| 2022-11-19 23:04
明けましておめでとうございます。 干支は寅。 言わずもがな12年に一度しか回ってこない。 この機会に「トラ」について少しばかり書いておきたい。 南方熊楠『十二支考』や諸橋轍次『十二支物語』があれば、そこからいろいろと紹介するのだが、あいにく手元にない。 どうするかと思案していた折、何気なく手にした1冊に興味深いことが書いてあったので、紹介しておきたい。 曽景来『台湾宗教と迷信陋習』(台湾宗教研究会 昭和14年) その中に「台湾習俗と虎の信仰」という章があり、台湾と虎の関わりについて記されている。 もともと台湾には虎はいなく、本土からの伝聞や小説などから、人びとはまだ見ぬ動物のイメージを膨らませていったと。 それは実際の虎の生態とは異なり、たとえば人を見れば必ず襲いかかり喰い殺してしまうなど、かなり誇張されたものであったという。 虎に関する迷信も多く、さまざま紹介されているが、ここでは著者が「珍奇であるが、迷信の甚しいもの」として取り上げている「謝白虎」を。 人は病気になると、その原因を神に伺うべく童乩(タンキー:霊媒師)に依頼することがある。 童乩から、それは白虎神に祟られたのだと告げられると、まず竹と紙で作った白虎に金銀の紙、白飯、豚肉、卵、スルメ、魚などをザルもしくは竹籠に入れて、なるべく川下の方へ持っていき、白虎を祀り、焼香をおこなう。 その後、豚肉を白虎の口に入れて「食豚肉笑吶々、食去遠々」を念じ、金銀の紙と一緒に焼却する。 最後に石をその灰の上にのせ「提石頭、圧路頭」を唱え、急ぎ家路につく。 これ、邪悪な白虎神が遠方に謝絶され、再び戻ってこないと。しかるに間もなく病は全快する。 著者はこう結ぶ。 台湾迷信に現われたる虎は動物崇拝と見做し得る点もあるが、元々虎そのものを崇拝したのではなく、観念的に抽象的に妖怪化し精霊化された虎を以て信仰の対象としたのである。(略)而して虎の凶暴性、獰猛性を狙ったところに虎崇拝の迷信たる重点が存していることは云うまでもない。 ちょっと別に書きたかったことがあったのだが、書けなくなった。 次回に。 #
by gosyado
| 2022-02-01 19:30
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by gosyado
| 2022-01-28 21:21
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by gosyado
| 2022-01-21 21:10
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by gosyado
| 2022-01-14 21:14
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